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目の色いろいろ

 眼科の病気には、病名に色の名前が入っている病気がいくつかあります。例えば白内障の白。白内障は、カメラのレンズに相当する水晶体が濁り、視力が低下する病気です(眼球の構造は下記イラストを参照)。

 進行した白内障の眼を外から見ると、文字通り瞳が白くなっています。

 緑内障は、眼圧(眼球の内部から外側に向けてかかる力)が高くなり、視神経が圧迫されて、視力が低下したり視野が狭くなる病気です。眼圧が高くなるのは、眼球内の房水が過剰に溜まることが原因で、このとき、瞳の奥が青みかがって見えることがあります。

 日本では、古くから目が見えなくなる病気のことを「そこひ」と呼んできました。瞳が白く濁る白内障は白そこひ、緑内障は青そこひという具合です。

 黒そこひ(黒内障)という病気もあります。「瞳が黒く見えて、目が見えなくなる病気」という意味ですが、瞳はもともと黒っぽいものなので、それをわざわざ病名にするのも、ちょっと変な話。黒そこひは、白そこひや青そこひに対して、外見上はまったく異常がなく、原因がよくわからずに視力が低下することを表現した病名といえます。

 現在では、眼の外見に問題がなくても検査によって、例えば網膜剥離や硝子体出血のように正確に診断されますので、黒そこひという言葉は使われなくなっています。

 ところで、目の色の話といって、まっ先に思いつくのは病気のことよりむしろ、異国の人の青い瞳のことかもしれません。

 瞳の色は、透明な角膜ごしに見える虹彩(カメラの絞りに相当)表面の色素量で決まります。虹彩表面の色素が豊富な人・人種ほど、瞳は濃い茶色になり、色素量が少なければ薄い茶色になります。

 白色人種の場合は虹彩表面には色素がなく、虹彩実質(虹彩そのもの)が透けて見えていて、虹彩内の色素の量によって、瞳が青く見えたり灰色に見えたりします。